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堕ちた元委員長  53  同僚議員の追及に“回答不能”に陥った「前歴」

2010年8月22日

 「週刊文春」に、「矢野委員長殿 8億円豪邸の資金はどうされたのですか」とのセンセーショナルな公開質問状が掲載されたのは、いまから20年以上前の1988年7月28日号である。元公明党の衆院議員で、矢野とは同僚議員の立場にあった大橋敏雄という元代議士が、矢野が東大阪の地元以外に、東京新宿区(二十騎町)に購入した豪邸について、その購入資金についておおやけに疑問を呈する内容だった。
 矢野はこのとき党委員長の立場にあり、「時価8億円」と指摘された新宿区の豪邸について、同年7月23日付の公明新聞で「購入金額は8億円などではなくその8分の1以下である」などと、言い訳にならない釈明を重ねている。冒頭の文春記事の中で、大橋はローンに四苦八苦する公明党議員の姿を次のように記していた。
 「私は公明党議員を8期21年勤めさせていただきました(中略)私はその間、やっと北九州市八幡西区に、家を一軒もつことができました。約10年前に購入したもので、敷地は約95坪、建坪約45坪、土地、建物を合わせて、当時2500万円ほどのものでした。もちろんそのすべてを銀行から借り入れ、その返済がまだ7年あまり残っています。ローンの返済には、四苦八苦しているのが実情です」
 「その私が不思議でならないのは、委員長のあなたが、東大阪の邸宅の他に、時価8億円ともいわれる豪邸を東京・新宿に建てられたということであります。あなたが特別な個人的収入を得られたという話を、私はこの21年間聞いたことがありませんし、それ相当の所得を申告されたという話も聞いておりません(中略)私はあなたを摩訶不思議な錬金術師だと思うより他ありません」
 繰り返しになるが、矢野は東大阪と新宿に、いずれもキャッシュで「豪邸」を取得した。これに対し上記の公明新聞で抗議文を発表したわけだったが、東大阪の豪邸の購入資金などについても、前述のとおり、見え透いた虚偽の弁明を平然と行っていた。上記の矢野の抗議文に対し、大橋は再度「週刊文春」誌上に質問文を掲載。矢野が「税務当局に提出報告し了承済み」などと開き直った点について、次のように反論を加えている。
 「繰り返し、税務当局の了承済みであるともおっしゃっているが、それは資産売却時の納税義務が果たされているかどうかということであって、その資産の取得の経緯を正当化することになりません。それを言うなら、税務当局へ提出したという証明資料を全部見せていただきたい」
 矢野は、潔白を証明するための手段を示されながら、これらの要求に応じることは一度もなかった。
 当時の矢野の主張によれば、新宿二十騎町の自宅は、時価8億円のものながら、1億円以下で購入したという。この主張を受けて大橋は、「仮に1億円以下であったとしても、どこからそんな資金が出てくるのか、私には信じられない思いです」と書いている。
 公明党という、他党とは比べ物にならないほどに支援者から無償の応援を受けられる立場にあって、その「立場」を自己の資産形成のためにこれほど利用した議員はほかにいないと指摘していた。この一点だけをとらえれば、言っていることはまさに「正論」そのものだった。

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