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「天皇家は韓国から来た」は正しいか?

2009年12月25日

 首都圏で昨日発売された「週刊新潮」(新年号)のトップ記事で、小沢幹事長が韓国で講演した内容を取り上げ、「天皇家は韓国から来た」などとする発言を紹介し、「亡国の徒」と斬り捨てている。政治家として他国でどのタイミングで何を発言するかはバランス感覚を常に問われることではあろうが、私には発言内容が事実かどうかのほうがより重要に思われる。
 京都に遷都した桓武天皇の母方が、渡来系であったことはすでに史実として確定している。さらに当時の政府内の多くが、渡来系人脈で占められており、比率としては3分の1を占めていたとの書物も残っている。
 朝鮮半島を侮蔑的にとらえるのは明治以降の皇国史観の流れから生じたことであろうが、当時は、渡来系であることが“主流”であり、むしろ「ステイタス」であった。当時の朝鮮半島人は、日本から見れば明治以降の西欧人のような存在で、進んだ文化の国からの使者と見られていたのだろう。そうでなければ、天皇家の血筋に朝鮮半島の血が入っている意味は、明治以降の感覚ではとうてい理解できないものかもしれない。
 大和朝廷がつくられる以前の日本で、天皇家がどのように暮らしていたかの実態はよくわからない。権力を得た段階で、それ以前の「正しい歴史」は多くが改ざんされたと推測されるからだ。ただ上記の過程をみると、天皇家が朝鮮半島から日本に渡った人々の末裔である可能性は高いはずだ。むしろ、一般庶民よりも、その血の濃さは相当に濃いと思われる。
 ただしそれを「韓国から来た」と言うのか、「朝鮮半島から来た」と言うのか、そのへんには感覚のズレが生じるだろう。突き詰めていえば、日本人の先祖も、韓国人の先祖も同じ。つまり、日韓同祖論だ。100年前の韓国併合では、高名な学者がこのような論理を持ち出して植民地化の正当性を主張したことも歴史的事実である。日韓同祖論も、主張内容そのものは真実と思われる。
 その意味では「嫌韓流」などと騒ぎ立てる者たちが、天皇家に親近感をいだき敬愛の態度を表明する姿は、自己矛盾もはなはだしい。われわれは朝鮮半島の人々と同じ先祖をもつことを事実として認識するべきだ。
つまるところ、小沢氏は韓国で正しいことを述べたのであり、問題とされるとすれば、そのタイミングや状況における政治家としての判断能力が問われるといった程度のレベルにすぎないと感じる。

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