ホーム > コラム, サイコパス > 久しぶりに現われた大型サイコパス

久しぶりに現われた大型サイコパス

2009年11月1日

 埼玉県警によって9月に逮捕された豊島区在住の34歳の女の話題が連日、新聞テレビをにぎわせている。10月27日の読売スクープで始まったものだが、この女がサイコパスであることはほとんど間違いない。(1)定職をもっていなかったこと(=寄生的生活)に加え、(2)結婚話などに結び付けて1億円近い金を騙し取っていた事実(実際の被害額は未判明分を含めるともっと増えると思われる)、さらには犯行が発覚しないように(3)練炭と睡眠薬を使って殺害したと思われる事実は、サイコパスの自己中心的な行動と見事に一致する。
 私は以前、サイコパスの世界的権威ロバート・ヘア博士にインタビューした際、女性のサイコパスは男性のように肉体的に強くないので、薬を使う方向になりやすいと聞かされたことがある。さらに連続殺人犯はほとんどがサイコパス、との博士の言葉も思い出す。
 普通の犯罪は、あるときかっとなって刺したなどというもので、犯行後は良心の呵責にさいなまれる。これは一般の人間の犯罪だ。ところがサイコパスは全く違う。良心の呵責がないので、犯行後も平然と精神状態を乱すことなく生きていられる。セレブな生活を満喫していたこの女に、良心の呵責がなかったことは明らかだ。
 犯行先を結婚願望をもつ男性に絞っていたのも賢いやり方だ。サイコパスはこうした騙しやすい人間を選別する嗅覚にたけているとされる。この手口を知って、私はあまり一般に有名ではないが、北海道函館市に住んでいた信平醇浩(じゅんこう)という人物を思い出した。地元では「詐欺師の典型」として知られていたが、一人暮らしのお年寄りをターゲットにし、口先だけのうまい話と暴力で、同じく1億円近い金を巻き上げていた。
 豊島区の女は、久しぶりに新聞をにぎわせている「大型サイコパス」といえよう。それでも知能という点では、昨年ロスで死亡した男性版の大型サイコパス・三浦和義には劣るようだ。三浦は、犯行を隠すために、日本の捜査権の及ばない米国で、都合の悪い人間を殺そうとした。しかも自分の手を汚さずにそれを行おうとしたために、最後まで、殺人罪(既遂)の刑罰から逃れることのできた「超一級」の知能犯サイコパスだった。
 その点では、今回の女は、まだ稚拙に見える。練炭殺人も1人や2人ならうまく逃げおおすことはできても、さらに被害者が増えると、発覚するのは時間の問題と思えたからだ。その意味で、先を見通す能力では三浦に劣るものの、それでも近年には珍しい大がかりな犯行に手を染めた女性サイコパスの典型といえよう。
 今回の特徴は、現代的犯罪の特徴ともいえる「インターネット」「介護」というキーワードがまじっていることだ。介護分野に接点のある人ならだれしも感じることだが、訪問ヘルパーという職業は、このような犯罪意思をもつ人間にとっては、獲物を物色し、実行するにはうってつけの環境下にある。
 犯罪予防の観点から、上記のような人間(サイコパス)が社会に一定の割合で存在することを伝え、注意を呼びかけることは、本来なら、法務・警察の重要な役目であろう。この分野で日本は非常に遅れている。

広告
カテゴリー:コラム, サイコパス
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。