ホーム > コラム, サイコパス > 林真須美はサイコパスか

林真須美はサイコパスか

2009年4月22日

 1審で延べ171人(実際は100人近く)の証人を調べ、3年7カ月をかけて95回の公判を重ねた刑事裁判の一審判決(死刑)が最高裁で確定した。98年に起きた和歌山毒カレー事件・林真須美被告の判決である。
 過去の新聞報道などによれば、同被告は普通の主婦ではとうてい考えられない年間1000万円以上もの高額の保険料を支払っていた。83年以降に支払った保険料の総額は2億2000万円にのぼり、逆に取得した保険金の総額は7億4000万円にのぼる。“保険金詐欺の常習犯”として知られ、この点では昨年死亡した三浦和義・元被告ともよく似ている。
 私は2002年にカナダのサイコパス研究の第一人者、ロバート・ヘア博士を取材した際、この和歌山毒カレー事件を念頭にこう質問したことを覚えている。「保険金殺人をするような女性はやはりサイコパスですか?」。すると博士は次のように答えた。「その可能性が強いですね。男性と違って、女性の場合は腕力で相手を殺害することが難しいので、毒を使うのです。一般に良心の呵責のある人はそのような行為に手を染めません。ふつうの人が、保険金詐欺や保険金殺人をしますか?」
 今回の判決は状況証拠に基づくもので、自白がなく、動機も解明されないままという。被告本人はいまだ「無実」と訴え続けている。だが、サイコパスと呼ばれる者たちが、自ら罪を認めることは、100%ありえない。今回の判決では、ヒ素が身近にあるのは林被告だけであること、さらに科学鑑定により同一のヒ素と判断されたこと、カレーにヒ素を混入できたのは被告だけであったことなどを総合的に勘案し、「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度に証明されている」と結論づけた。
 三浦和義元被告の妻銃撃事件では、検察側が実行犯を最後まで特定できなかった。そうしたケースとはやはり決定的に異なっているように見える。
 サイコパスは平気でウソを並べ立て、繰り返し、罪を逃れようとする。そうした傾向と、本当の「冤罪者」の真摯な主張とを見分けるためには、相当の経験と分析力を要求されるはずだ。「冤罪者」を軽々に「犯罪者」とみなしてはならないのと同様に、「犯罪者」を軽々に「冤罪者」と決めつけることも、被害者感情からすれば大きな罪である。

広告
カテゴリー:コラム, サイコパス
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。