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地に墜ちた「新潮」ジャーナリズム

2009年4月9日

 懸念されていた事態がとうとう現実のものになった。「週刊新潮」が朝日新聞阪神支局襲撃事件で実行犯と名乗る男性の手記を4回にわたって掲載した問題で、証言者となった男性が「週刊文春」の取材に応じ、「自分は実行犯ではない」と否定したからだ。男性はさらに新聞各社の取材にも応じ、今日付の毎日、朝日、産経などが1面と社会面などで詳しく報じている(なぜか読売は特オチ)。
 これらの報道で、男性は新潮記者から「こう答えてください」との想定問答集を見せられて録音テープの前で話したなどと述べているが、新潮編集部はこの点を否定している。いずれにせよ、詐欺師といわれる男性なので、この点は額面とおりに受け取れない面がある。
 男性は「週刊新潮」側から、合計90万円を受け取ったと述べている。朝日新聞は記事のなかで、「情報提供者に金銭を支払うと取材側の意向に合わせて証言内容を変える可能性がある。このため、朝日新聞では原則、情報の提供には対価を渡さないことにしている」と記載している。
 毎日新聞によると、男性は自分が語ってもいないことが手記に掲載されているのを知り、「最初の記事を見て怒り狂って記者のほおをはたいた」と述べている。実行犯は自分ではなく、自分の知り合いだったと今回男性は述べているが、新潮側は「録音テープもあり、立証できる」とコメントしている。
 いずれにせよ、証言男性は、「乗ったおれがバカだった」と、週刊新潮側が故意に≪捏造記事≫を作成したと主張しているわけで、来週号の「週刊新潮」に掲載される予定という検証記事で、詳しく説明されるべきであろう。そのなかで、なぜこの“大誤報”にいたったのか、関係者の実名を示した上で納得ある説明がなされるべきであろう。取材記者(データマン)、執筆責任者(担当デスク)、編集長という一連の流れにおいて、どこに最大の問題があったのか、明らかにすべきであろう。
 元「週刊現代」編集長の元木昌彦氏は毎日新聞に、「月刊誌『マルコポーロ』がホロコーストを否定する記事を掲載し廃刊した問題に匹敵するもの」とコメントし、暗に休刊もやむおえないとの立場を示した。新潮社は少なくとも、問題記事の責任者である早川清氏を同社役員から外すべきであろう。

 【産経ニュース】 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090409/crm0904090731004-n1.htm
 【毎日jp】 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090409k0000m040154000c.html
 【アサヒコム】 http://www.asahi.com/national/update/0409/TKY200904080308.html

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