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「矢野絢也」の“嘘八百”を告発記事に仕立てた「週刊現代」

2009年1月22日

 大相撲初場所の11日目が終わった。なぜか最近、相撲の現場に真剣さがみなぎっていると思えるのは小生だけだろうか。特に朝青龍の取り組みは真剣そのものだ。もしそれが八百長相撲をできにくくなってそうなっているとしたら、それは間違いなく「週刊現代」の功績であろう。同誌は2007年2月から「横綱朝青龍の八百長を告発する!」という告発キャンペーンを始め、日本相撲協会から高額の名誉棄損訴訟を提起された。訴訟にも負けず、キャンペーンは続いていたが、今年3月26日に東京地裁で一審判決が出る。同誌が火をつけた記事が、八百長相撲をできなくする環境を整えたようにも見える。
 八百長相撲の歴史は古い。小生の文章の師(87)はかつてフリーに転じる直前、西日本新聞東京支社でデスクをつとめていた。地方新聞の東京駐在は人が足りないのか、多くの役職を兼務する。なかに相撲担当記者もあって、両国国技館に熱心に足を運んだ。昭和30年代の話である。足をかけてもいないのに勝手に転ぶ力士。そんな姿を見て、相撲界の八百長について批判的な記事を書き出した。業界では「またあいつが来た」と目をつけられるようになり、監視網が敷かれる。当時は、取り組みの勝敗も事前に決められており、そのための番付表すら作成されていたという。退社後もたまに国技館へ覗きに行くと、入り口近くで関係者がめざとくその姿を見つけ、「気をつけろ、またあいつが来た」とマークされるほどであったという。そんな話を酒席で何度も聞かされていたので、冒頭の現代記事が出たときは、ほとんど事実であろうと直感した。
 いまでは多くの国民が、相撲に八百長があるらしいことを知っている。週刊誌記事の功績だ。
 一方でその「週刊現代」は、腹に黒い想いを抱く元政治家にいいように利用されてきた媒体でもある。元公明党委員長「矢野絢也」の立場を守るため、同人らの嘘八百の主張をそのまま記事にし、関係した公明党国会議員OBから提訴され、謝罪広告を命じられる“完全敗訴”の失態を演じたことは記憶に新しい。この出来事は、裏づけすらとらずに元政治家の「虚言」に乗せられたメディア側の過ちとして、「週刊現代」あるいは発行元の講談社にとってもメディア史に残る汚点になると思われる。この裁判の控訴審判決が、相撲協会判決の翌日(3月27日)というのも因縁めいている。

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